雪室は、雪国の人たちの知恵と工夫から生まれた「天然の冷蔵庫」です。冬にたくさん降り積もった雪を、茅や藁の屋根で覆って貯蔵したもので、古くは 『日本書紀』にも記録が残されており、電気冷蔵庫が普及する昭和30年代までは雪国各地で利用され、家庭でも冬場の野菜などの保存手段として広く活用され ていました。
雪が背丈よりも高く降り積もり、長く厳しい冬が続く雪国の暮らしにとって、時にやっかいな存在にもなる雪ですが、先人たちはその雪の力を活かした雪国独特の暮らしや食文化を育んできました。そのひとつが「雪室」です。現代のような冷蔵庫がなかった時代、年間を通して低温 を保つ「雪室」は、野菜などを保存するだけでなく、野菜や食品を冬の凍結から守ったり、夏は雪や氷を売るなど、生活の糧にもなりました。
原稿写真協力/八海山酒造